「在留資格が特定活動だと、賃貸は借りにくいのでは」——ご本人からも、管理会社様からも、よくいただく質問です。
結論からお伝えすると、特定活動でも賃貸契約は可能です。ただし特定活動には40種類を超える類型があり、就労できる方もできない方も含まれます。そして厄介なことに、在留カードを見ただけでは、その方が何をできるのかが分かりません。
鍵を握るのは、パスポートに添付されている「指定書」という書類です。この記事では在留カードの読み方を一項目ずつ整理したうえで、特定活動特有の確認手順と、賃貸審査で実際に見られているポイントをご説明します。
この記事でわかること
- 特定活動とはどんな在留資格か
- 特定活動でも賃貸は借りられる
- 在留カードの見方【表面】5つのチェックポイント
- 在留カードの見方【裏面】住居地と資格外活動
- 特定活動だけの落とし穴|指定書を見ないと分からない
- 賃貸審査で実際に見られているポイント
- 偽造在留カードへの備え
- よくあるご質問
特定活動は、技術・人文知識・国際業務や特定技能のように活動内容が定型化された在留資格とは性格が違います。法務大臣が個々の外国人について活動を指定するという仕組みで、いわば受け皿にあたる資格です。
大きく2つに分かれます。
| 区分 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 告示特定活動 | 法務大臣の告示であらかじめ定められた活動。40種類を超える類型がある | ワーキングホリデー、外交官等の家事使用人、本邦大学卒業者(46号)、インターンシップなど |
| 告示外特定活動 | 告示に含まれないもの。個別の事情に応じて許可される | 就職活動の継続、親の扶養、出国準備期間など |
この幅の広さが、話をややこしくしています。フルタイムで働ける方もいれば、就労が一切認められない方もいる。同じ「特定活動」という4文字が、まったく違う状況を指しているのです。
まず安心していただきたいのは、在留資格の種類そのものを理由に賃貸契約が禁止されているわけではないという点です。特定活動だから借りられない、という法律上のルールはありません。
実際に審査で見られているのは、次のような点です。
・在留期間の満了日まで、どのくらい残っているか
・緊急時に連絡が取れる先があるか
・保証会社の審査を通過できるか
これは日本人が審査を受けるときと本質的に同じ構造です。違うのは、在留期間という「日本にいられる期限」が明確に存在する点だけです。
ただし現実には、特定活動という見慣れない記載を前に、判断を保留する管理会社やオーナーがいるのも事実です。だからこそ、ご本人の側も、受け入れる側も、在留カードを正しく読めることが交渉を前に進める力になります。
賃貸の場面で確認すべき項目を絞ると、次の5つです。
| 確認する欄 | 何が分かるか | 見るときのポイント |
|---|---|---|
| 在留資格 | どの資格で在留しているか | 「特定活動」と書かれていれば、後述の指定書の確認が必要になる |
| 在留期間(満了日) | いつまで日本にいられるか | 賃貸契約の期間との関係で最も重視される。残り期間を必ず確認する |
| 就労制限の有無 | 働けるかどうか | 記載パターンが複数ある(下表参照) |
| 住居地 | 登録されている住所 | 引っ越し後14日以内に変更の届出が必要。空欄の場合は未届出 |
| 有効期間の満了日 | カード自体の期限 | 在留期間の満了日とは別物。混同しやすいので注意 |
このうち「就労制限の有無」欄は、記載される文言が決まっています。
| 記載 | 意味 |
|---|---|
| 就労不可 | 原則として働けない。ただし裏面に資格外活動許可があれば、その範囲で働ける場合がある |
| 在留資格に基づく就労活動のみ可 | その在留資格で認められた範囲の仕事だけできる |
| 指定書により指定された就労活動のみ可 | 特定活動の方に記載される。具体的な内容は指定書を見ないと分からない |
| 就労制限なし | 職種の制限なく働ける(永住者、日本人の配偶者等など) |
裏面にも重要な情報があります。表面だけ見て判断すると見落とします。
住居地記載欄/引っ越しをすると、市区町村の窓口で新しい住所がここに記載されます。賃貸契約後に入居された方の在留カードで、この欄が古い住所のままであれば、届出がまだ済んでいない可能性があります。引っ越しから14日以内という期限があるため、入居時にご案内しておくと親切です。
資格外活動許可欄/本来の在留資格の範囲を超えて働くための許可です。ここに記載があれば、表面が「就労不可」であっても、許可された範囲で働ける場合があります。許可の内容は個別に異なるため、記載内容をそのまま確認してください。
在留期間更新等許可申請欄/更新の申請中であることが記載される欄です。満了日が近くても、申請中であれば継続して在留できる扱いになる場合があります。審査で在留期間の短さが問題になるとき、この欄が判断材料になることがあります。
ここが本記事でいちばんお伝えしたい部分です。
特定活動の方の在留カードには、就労制限の有無欄に「指定書により指定された就労活動のみ可」としか書かれていません。どんな活動が許されているのか、就労先が特定の企業に限定されているのか、カードの券面からは一切読み取れないのです。
具体的な内容が書かれているのが、パスポートに添付されている「指定書」です。在留カードとあわせて交付される書類で、法務大臣が指定した活動の内容がここに記されています。
① パスポートに指定書が添付されているかを確認する
② 指定書の氏名・国籍地域の欄が、在留カードの記載と一致しているかを照合する
③ その下に書かれている活動の範囲を読む(就労の可否、就労先の限定の有無)
④ 指定書の下部にあるスタンプの日付が、最新の在留カードの発行日と整合しているかを確認する
※指定書が確認できない場合は、ご本人に「就労資格証明書」の提出をお願いする方法があります
特定活動の中には、就業先が個別に指定されているケースがあります。この場合、指定された勤務先以外での就労は原則として認められません。賃貸の場面では直接の判断材料にならないこともありますが、収入の安定性を見るうえでは無関係ではありません。
なお、指定書の記載内容の解釈や、個別の活動が認められるかどうかの判断は、出入国在留管理庁の窓口または行政書士等の専門家へご確認ください。不動産会社が判断できる領域ではありません。
在留カードの読み方が分かったところで、審査の実務に話を戻します。
| 見られる点 | 不利になりやすいケース | 対策 |
|---|---|---|
| 在留期間の残り | 満了日まで半年を切っている | 更新申請中であれば裏面の記載を示す。更新の見込みを説明できる資料を用意する |
| 収入の安定性 | 就労不可、または就労時間に制限がある | 就労できない場合、送金元や学費・生活費の負担者を明示する |
| 勤務先の情報 | 勤務先が定まっていない | 内定通知書や雇用契約書を提出する |
| 緊急連絡先 | 日本国内に連絡先がない | 勤務先の担当者、学校、支援機関などを立てる |
| 日本語でのやり取り | 契約内容の説明が理解できない | 通訳できる方に同席してもらう、または多言語対応の不動産会社を使う |
実務で最も引っかかりやすいのは在留期間の残りです。賃貸借契約は通常2年ですので、在留期間が残り半年という状態だと、貸す側は「途中で帰国してしまうのでは」と考えます。ここは説明の仕方で変わる部分です。更新の見込みや、勤務先が継続を予定していることを具体的に伝えられれば、判断が変わるケースは少なくありません。
貸す側にとって避けたいのが、偽造された在留カードによる契約です。出入国在留管理庁も、券面の偽造技術が精巧化し、実在する在留カード番号を悪用した偽変造カードの作成事案が発生していることに注意を促しています。
確認方法は主に2つです。
出入国在留管理庁が設置しているページで、カードの番号と有効期間を入力すると、その番号が失効していないかを確認できます。ただし入管庁自身が、この確認結果は在留カード等の有効性を証明するものではないと注意を促しています。番号だけを流用した偽造があり得るためです。
② 在留カード等読取アプリケーション
入管庁が無料で提供しているアプリで、カードのICチップに保存された身分事項や顔写真を読み取り、券面の記載と見比べることができます。券面とICチップの内容が食い違っていれば、偽変造が疑われます。利用にあたってはご本人の同意が必要です。
照会ページの下部には、券面に施された偽変造防止対策のポイントも掲載されています。番号の照会だけで安心せず、券面の確認とあわせて行うことが推奨されています。
とはいえ、これらをすべて自社で運用するのは負担です。外国籍の方の入居に慣れた不動産会社を通すことで、この工程を任せてしまうという選択肢もあります。
オーナー様・管理会社様へ
不動産のイブキは外国籍の方の住まい手配を専門的に扱っています。在留資格の確認から入居後の連絡対応まで含めてお引き受けできますので、入居者の受け入れにご不安がある物件についてもご相談ください。スペイン語・ポルトガル語対応。
この記事のまとめ
特定活動は法務大臣が個別に活動を指定する在留資格で、告示に基づくものだけで40種類を超えます。働ける方も働けない方も含まれるため、資格名だけでは状況が分かりません。
在留カードの表面で見るべきは、在留資格・在留期間の満了日・就労制限の有無・住居地・有効期間の満了日の5点です。裏面には住居地記載欄、資格外活動許可欄、在留期間更新等許可申請欄があります。
特定活動の方の就労制限の有無欄には「指定書により指定された就労活動のみ可」としか書かれません。具体的な内容はパスポートに添付された指定書で確認します。指定書がない場合は就労資格証明書という方法があります。
審査で最も影響するのは在留期間の残りです。更新申請中であることや勤務先の継続予定を説明できると、判断が変わることがあります。
偽造対策としては、入管庁の失効情報照会ページと、ICチップを読み取る無料アプリがあります。番号照会だけでは有効性の証明にならない点にご注意ください。
在留資格の解釈や手続きの可否については、出入国在留管理庁の窓口または行政書士等の専門家へご確認ください。
在留資格を理由にお部屋探しで困っていませんか
不動産のイブキは外国籍の方の住まい手配を全国で承っています。保証人がいない方、在留期間が短い方のご相談にも対応しています。スペイン語・ポルトガル語対応。相談は無料です。
0120-337-900不動産のイブキ(伊吹株式会社)/名古屋市西区庄内通3丁目9-4/国土交通大臣(1)第10691号






