2026年4月13日以降、特定技能「外食業分野」の新規受入れが原則停止されました。制度が始まって以来、受入れ見込数の上限に到達した初めてのケースです。
「外食業では外国人を雇えなくなった」と受け取られがちですが、正確ではありません。止まったのは新規の流入であって、すでに働いている方の在留期間の更新や、外食業分野内での転職は引き続き認められています。
この記事では、何が止まり何が続くのかを整理したうえで、住まいの実務にどんな余波が及ぶのかをご説明します。本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。
この記事でわかること
- 何が起きたのか|上限到達による停止
- 止まるもの・続くもの
- 判断の基準は「受理日」
- 技能測定試験も停止している
- 住まいに何が起きるか|分野内転職の増加
- 受け入れ企業が今から備えること
- 外食業で働いている方へ
- よくあるご質問
2026年3月27日、出入国在留管理庁が外食業分野についての運用方針を公表しました。これにより、2026年4月13日以降に受理された申請から、特定技能1号(外食業分野)の新規受入れが原則停止となっています。
根拠は入管法第7条の2に定められた、受入れ上限に基づく停止の規定です。制度の運用として、あらかじめ定められた受入れ見込数に達する見込みとなった場合に発動されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受入れ見込数 | 2024年度から2028年度までの5年間で5万人 |
| 2026年2月末時点の在留者数 | 約4万6千人(速報値) |
| 上限到達の見込み | 2026年5月頃 |
| 停止の開始 | 2026年4月13日以降に受理された申請から |
コロナ禍明けの需要回復と人手不足を背景に、想定を上回るペースで受入れが進んだ結果です。受入れ見込数に到達した分野が出たのは、特定技能制度で初めてのことです。他の分野でも同様に上限へ近づく可能性が指摘されており、外食業だけの問題として片づけられる話ではありません。
ここを正確に押さえておかないと、必要のない不安が広がります。
| 手続き | 扱い |
|---|---|
| 海外からの新規呼び寄せ(在留資格認定証明書の交付申請) | 原則不交付 |
| 他の在留資格から特定技能(外食業)への変更 | 原則不許可 |
| すでに外食業で働いている方の在留期間更新 | これまでどおり |
| 外食業分野内での転職に伴う申請 | 認められる |
| 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)修了者からの移行 | 上限の範囲内で認められる |
整理すると、新たに外食業へ流入するルートが原則閉じられた一方で、すでに外食業にいる人材の更新と転職は続くという構造です。
この構造が、後述する住まいの話につながってきます。
4月13日より前に受理された申請で、一定の期日までに食品産業特定技能協議会への加入申請を行っているものなど、個別の取扱いが定められています。該当しそうな案件は、必ず出入国在留管理庁の公表資料をご確認いただくか、行政書士等の専門家にご相談ください。
実務で間違えやすいのがここです。基準になるのは申請が受理された日であり、書類を窓口へ持ち込んだ日やオンラインで送信した日ではありません。
受付番号が発行された日で判定されるため、提出のタイミングと受理のタイミングにずれがあると、想定と違う扱いになることがあります。進行中の案件がある場合は、受理日がいつだったかを確認してください。
受入れの停止とあわせて、農林水産省の指示により、外食業分野の特定技能1号技能測定試験が国内・海外ともに当面の間停止されています。
これは「新規の在留資格が取れない」という以前に、そもそも受験ができないことを意味します。海外在住の候補者が外食業の特定技能1号を目指すルートは、実務上ほぼ閉じている状態です。
ただし、外食業の特定技能2号試験と、飲食料品製造業の1号・2号試験は引き続き実施されています。外食業と飲食料品製造業は別分野ですので、混同しないようご注意ください。
ここからが本題です。
新規の流入が止まり、更新と分野内転職だけが続く。この状態で何が起きるかというと、限られた人材の取り合いになります。企業側は新規採用ができない以上、既存のスタッフに残ってもらうしかありません。一方の本人からすれば、自分を必要としてくれる職場が増えるということです。
結果として、外食業分野の中での転職が増える方向に働きます。そして転職が増えれば、住み替えが増えます。
住まいの実務から見ると、次のような論点が立ち上がります。
・入退去のスピード/転職が決まってから住まいを探すのでは間に合わないことがあります
・家具家電の扱い/購入して据え付けたものは、住み替えのたびに運搬か処分の費用が発生します
・保証会社の再審査/転居先で改めて審査が必要になり、空白期間が生まれることがあります
・ライフラインの切替/本人が理解できる言語での案内が必要です
・住居地変更の届出/引っ越しから14日以内に市区町村の窓口で手続きが必要です
2027年4月に施行が予定されている育成就労制度でも、本人の意向による転籍が一定の要件下で認められることになっています。外食業の受入れ停止と育成就労の転籍は、原因は違っても「在留期間の途中で住み替えが起きる」という同じ結果をもたらします。住まいの手配を「入国前に一度決めれば終わり」という前提で組んでいる企業ほど、影響が大きくなります。
入れ替わりを前提にした社宅の組み替えをご相談いただけます
| 備えること | なぜ必要か |
|---|---|
| 賃貸借契約の解約条項・違約金条項を確認する | 中途解約が現実に起こる前提へ変わったため |
| 家具家電を「買う」か「借りる」か再検討する | 入れ替わりの頻度が上がると、購入・運搬・廃棄の総コストが読みにくくなるため |
| 入退去の手順を文書化する | 急な住み替えでも手戻りなく回せるようにするため |
| 住まいを含めた待遇を見直す | 新規採用ができない以上、定着してもらうことが最優先になるため |
| 他分野の上限到達も想定しておく | 外食業が初のケースであり、他分野で同様の措置が取られる可能性があるため |
4番目は見落とされがちですが、実は最も効きます。新規採用の道が細くなった状況では、住環境の質がそのまま定着率に跳ね返ります。設備の古い社宅、通勤に不便な立地、トラブル時に相談できない環境。こうした要素が転職の後押しになってしまう局面です。
なお、制度の解釈や個別の申請可否については、出入国在留管理庁の窓口または行政書士等の専門家へご確認ください。当社がお手伝いできるのは、物件の選定・契約・入居後の生活サポートの部分です。
いま外食業で特定技能として働いている方は、今回の措置で在留資格を失うわけではありません。在留期間の更新はこれまでどおり行われますし、外食業の中での転職も認められています。
転職して住まいが変わる場合は、次の点にご注意ください。
・会社の社宅に住んでいる場合、いつまでに退去するのかを早めに確認してください
・次の住まいは、転職先が決まったらすぐに探し始めてください。審査に日数がかかります
・保証人がいない場合でも、保証会社を利用して契約できる物件があります
この記事のまとめ
2026年3月27日の公表を受け、同年4月13日以降に受理された申請から、特定技能1号(外食業分野)の新規受入れが原則停止されました。受入れ見込数5万人に対し、2026年2月末時点で約4万6千人に達したことが理由です。制度開始以来、上限に到達した初めての分野です。
止まったのは海外からの新規呼び寄せと他資格からの変更です。すでに外食業で働く方の在留期間更新と、分野内での転職は引き続き認められています。判断の基準は申請の受理日です。
あわせて外食業の1号技能測定試験も国内外で当面停止しており、海外からのルートは実務上ほぼ閉じています。飲食料品製造業は別分野で、試験は継続しています。
住まいの実務では、新規流入が止まったことで分野内の転職が増え、在留期間の途中での住み替えが増える方向に働きます。契約条項、家具家電の持ち方、保証会社の再審査、住居地変更の届出を、住み替え前提で組み直す必要があります。
本記事は2026年7月時点の情報に基づく整理です。制度の運用は変わり得ますので、最新の状況と個別の可否は出入国在留管理庁または専門家へご確認ください。
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