借上げ社宅の社内規程と家賃の給与天引き|自己負担額の決め方
会社が借りた部屋に外国人スタッフに住んでもらうとき、いくらを本人に負担してもらうかで迷いが出ます。給与から引いてよいのか、上限はあるのか、税務ではどう見られるのか。規程を組み立てる順番を整理しました。
給与から引くなら、賃金控除の労使協定から
労働基準法24条は、賃金を通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならないと定めています。法令に定めのあるものを除き、会社の判断だけで差し引くことはできません。社宅費を天引きにするなら、事業場の過半数代表者との賃金控除に関する労使協定が要ります。
この協定は36協定と違い、労働基準監督署への届出は不要とされています。控除できる費目の例に寮費が挙がっていますが、対象は事理明白なものに限られます。
※ 厚生労働省「賃金の支払方法に関する法律上の定めについて」、神奈川労働局「賃金控除に関する労使協定を締結していますか?」。2026年9月時点。
本人から受け取れる住居費の上限
会社が借りて1号特定技能外国人に提供する場合、住居費に上限があります。運用要領は「借上げに要する費用(管理費・共益費を含み、敷金・礼金・保証金・仲介手数料・更新手数料・途中解約金等は含まない。)を入居する特定技能外国人の人数で除した額以内の額」としています。
| 含めてよい | 管理費・共益費 |
|---|---|
| 含めてはいけない | 敷金・礼金・保証金・仲介手数料・更新手数料・途中解約金 など |
技能実習生の居住費もほぼ同じです。参考様式も「借上げに要する賃料(管理費・共益費等を含み、敷金・礼金・保証金・仲介手数料等は含まない)を、入居する技能実習生の人数で除した額」としています。
違うのは広さです。特定技能は居室が1人あたり7.5㎡以上、技能実習は寝室が1人あたり4.5㎡以上で、数える対象が異なります。「技能実習は実費、特定技能だけ上限がある」という整理は正確ではありません。詳しくは広さ要件のページへ。
※ 特定技能は法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」別冊1、技能実習は外国人技能実習機構 参考様式第1-16号。2026年9月時点。
賃貸料相当額と50パーセントの意味
社宅を安く貸すと差額が給与とみなされます。物差しは賃貸料相当額で、使用人では次の3つの合計額です。
| 建物 | 建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2パーセント |
|---|---|
| 床面積 | 12円 ×(総床面積(平方メートル)÷ 3.3(平方メートル)) |
| 敷地 | 敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22パーセント |
※ 国税庁 No.2597「使用人に社宅や寮などを貸したとき」。課税標準額はその年度のもの。2026年9月時点。
受け取っている家賃が賃貸料相当額の50パーセント以上であれば、差額は給与として課税されないとされています。「支払家賃の50パーセント」と読み違える例が多くあります。借上げでは課税標準額が分からないこともあり、処理は税理士にご確認ください。
社宅規程に書いておく項目
就業規則には、労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合、これに関する事項を記載することとされています。一方、社宅規程に盛り込む項目を列挙した公的な決まりはありません。下の4つは法令から逆算した整理です。
※ 厚生労働省「就業規則で、記載が必須な事項はありますか?」。2026年9月時点。
寄宿舎に当たる場合があります
労働基準法95条は、事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる場合、寄宿舎規則を作成し、寄宿する労働者の過半数の代表者の同意を得て所轄労働基準監督署長に届け出なければならないとしています。常時10人以上を就業させる事業等の附属寄宿舎を設置するときは、計画を着手の14日前までに届け出る定めもあります。
※ 茨城労働局「労働基準法のあらまし(寄宿舎生活、設置)」。2026年9月時点。
借上げのアパートが寄宿舎に当たるかの判断基準を示した資料は、当社が調べた範囲では確認できませんでした。当たらないとも言い切れません。1戸に多人数で住んでいただく形なら特に、労働基準監督署にご確認ください。
在留資格や労務の手続きそのものは、行政書士・社会保険労務士の業務です。当社がお手伝いできるのは住まいに関する範囲です。ご相談とお見積りは無料です。ご請求は仲介手数料のみです。
ご利用の流れ
- 1
お問い合わせ・ヒアリング
勤務地、人数、入居希望日、予算、契約名義(法人か本人か)、必要な設備をお聞きします。フォーム・電話・LINEのどれでも構いません。 - 2
物件のご提案
外国籍入居の可否を確認済みの候補を、間取り・家賃・初期費用の一覧でお送りします。ご担当者様が見つけた物件の持込みも歓迎です。 - 3
審査・契約
保証会社の申込み、契約書類の準備、重要事項説明まで当社で行います。法人契約・社宅規程に合わせた書式にも対応します。 - 4
入居・ライフライン開通
鍵のお渡しに合わせて電気・ガス・水道・ネットを開通。家電・SIMもご希望に応じて同時に手配します。
よくあるご質問(社宅規程をつくる方から)
天引きに労基署への届出は要りますか。
労使協定そのものの届出は不要とされています。ただし協定の締結は必要です。
一時金を毎月の住居費に上乗せできますか。
運用要領は敷金・礼金・仲介手数料・更新手数料等を含まないとしています。分割しての上乗せは趣旨に反するおそれがあります。
家賃の半分をもらえば給与課税されませんか。
基準は賃貸料相当額の50パーセント以上であって、支払家賃の50パーセントではありません。
技能実習と特定技能で計算方法は違いますか。
計算式はほぼ同じで、違うのは面積です。特定技能は居室1人7.5㎡以上、技能実習は寝室1人4.5㎡以上。
借上げでも寄宿舎の届出が要りますか。
判断基準を示した公的資料は確認できませんでした。所轄の労働基準監督署にご確認ください。


