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2026.07.27

育成就労スタートで外国人の部屋探しはどう変わる?技能実習との違いを解説

技能実習制度に代わる「育成就労制度」の施行日は、2027年(令和9年)4月1日です。

本記事は2026年7月時点の公表情報に基づいています。制度はまだ施行されておらず、告示や運用要領の追加・改正が続いている段階です。

その前提のうえで、住まいの手配という現場から見て「何が変わるのか」を、技能実習との違いに沿って整理します。結論から言えば、最大の変化は宿舎の面積基準ではなく、本人の意向による転籍が認められることで、在留期間中の住み替えが現実に起こるようになる点です。

この記事でわかること

  1. 育成就労はいつから?今どこまで決まっているか
  2. 技能実習と何が変わるのか(比較表)
  3. 住まいの基準は変わる?宿泊施設の要件
  4. 本当に変わるのは「住み替えが起きる」こと
  5. 受け入れ企業・監理支援機関が今から備えること
  6. 大家さん・管理会社から見た育成就労
  7. よくあるご質問
01育成就労はいつから?今どこまで決まっているか

育成就労制度は、2024年6月に公布された入管法等の一部改正法によって創設された新しい在留資格制度です。技能実習制度を発展的に解消し、人手不足分野での人材育成と人材確保を目的としています。

出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aによれば、施行日は令和9年(2027年)4月1日で、実際に育成就労外国人を受け入れられるのもこの日からです。ただし制度の準備は施行前から段階的に進んでおり、すでに動き始めている手続もあります。

時期 何が起きる/起きた
2024年6月 改正法が公布され、育成就労制度が創設される
2025年9月30日 主務省令が公布
2026年1月23日 分野別運用方針を閣議決定(対象分野・業務区分・転籍制限期間などを規定)
2026年2月20日 育成就労制度 運用要領を公表(その後一部改正あり)
2026年4月15日 監理支援機関の許可について、施行日前申請の受付が開始
2026年9月1日 育成就労計画の認定について、施行日前申請の受付が開始
2027年4月1日 育成就労制度が施行。受け入れ開始

住まいの手配という観点で見逃せないのは、2026年9月1日から始まる育成就労計画の認定申請です。育成就労計画には宿泊施設に関する事項が含まれるため、「どの部屋に住まわせるか」を申請までに固めておく必要が出てきます。2027年4月の受け入れを予定している企業にとって、物件の検討はすでに準備期間に入っている、というのが実務上の感覚です。

今いる技能実習生はどうなる?
施行日に一律で育成就労へ切り替わるわけではありません。入管庁Q&Aでは、2027年4月1日の時点で既に来日している技能実習生や、2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請がなされ、施行日から3か月(2027年6月30日まで)に技能実習を開始する方は、原則として引き続き認定計画に基づく技能実習を続けられるとされています。つまり施行後しばらくは、技能実習生と育成就労外国人が並存する期間が生まれます。
02技能実習と何が変わるのか(比較表)

制度の建て付けが変わる部分を、住まいに関係する観点を中心に整理します。

項目 技能実習 育成就労
制度の目的 技能等の修得を通じた国際貢献 人手不足分野での人材育成と人材確保
期間・区分 1号・2号・3号の区分があり、段階ごとに計画認定 区分なし。当初から通算3年の計画を作成して認定を受ける
転籍 やむを得ない事情がある場合に限られる やむを得ない事情に加え、一定の要件下で本人の意向による転籍も可能
日本語 入国後講習等 就労開始前にA1相当の試験合格、または認定日本語教育機関等のA1相当講習100時間以上。3年でA2相当を目指す
家族の帯同 原則不可 原則不可
受け入れ側 監理団体 監理支援機関(新たに許可を取り直す必要がある)

入管庁Q&Aでは、制度目的の違いを踏まえ、外国人を労働者としてより適切に権利保護する観点から、技能実習では認められなかった本人意向の転籍を一定の条件下で認めることが示されています。この一点が、住まいの実務に最も大きく効いてきます。

03住まいの基準は変わる?宿泊施設の要件

先に結論をお伝えすると、部屋そのものに求められる水準は、技能実習制度の考え方を引き継ぐ形で整理されています。「基準がまるごと入れ替わるので物件を探し直さなければならない」といった性質のものではありません。

育成就労計画の認定基準には宿泊施設の確保が含まれ、運用要領では次のような点が挙げられています。

・寝室について、1人あたり4.5㎡以上を確保していること(押入など実際には使えないスペースを除いた面積で計算します)
・個人ごとに施錠でき、持ち出しできない私物の収納設備があること
・室面積の7分の1以上の有効採光面積のある窓があること
・建築基準法上の基準を満たした建築物であること、避難階段・避難器具や消火設備が人数に応じて備わっていること
・労働基準法上の「事業の附属寄宿舎」に該当する場合は、寄宿舎規則の届出等を行っている(または速やかに行う)こと

なお、1人あたり7.5㎡以上という数字を見聞きしたことがある方もいると思います。こちらは1号特定技能外国人支援に関する運用要領で示されている基準で、制度が異なります。技能実習・育成就労と特定技能で数字が違うため、社内で物件を検討するときは「どの在留資格の人が住むのか」を先に確定させてから面積を当たるのが確実です。

面積の算定は図面上の壁芯ではなく実際に使える内法で見るのが実務の考え方で、複数人で入居する場合は「部屋の合計面積を人数で割る」という計算は通りません。見取り図には使用部分と算出根拠を明示することが求められます。

認定後に引っ越すときは届出が必要です
運用要領によれば、認定を受けた後に別の宿泊施設へ変更した場合、育成就労計画の変更の届出が必要とされています。新しい住居が基準を満たしているかの確認も伴います。転居は「部屋を決めて終わり」ではなく、制度上の手続とセットになる、という点を押さえておいてください。

適合性に疑義がある場合は、外国人育成就労機構の地方事務所・支所へ事前相談ができるとされています。判断に迷う物件は、契約前に相談しておくのが安全です。

04本当に変わるのは「住み替えが起きる」こと

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

技能実習では、途中で受け入れ先が変わることは例外的でした。だからこそ住まいの手配も「入国前に一度決めれば、あとは在留期間が終わるまでそのまま」という前提で組み立てられてきました。育成就労では、この前提が崩れます。

入管庁Q&Aによれば、本人意向の転籍には次のような要件が示されています。

要件 内容
転籍制限期間の経過 分野ごとに分野別運用方針で1年以上2年以下の範囲で定められた期間を超えていること。1年を超える期間が定められた分野でも、受け入れ機関の判断で1年とすることが可能
技能・日本語能力 分野ごとに定める一定水準の技能および日本語能力を修得していること
職業紹介の経路 転籍にあたって民間の職業紹介事業者による職業紹介等を受けていないこと
転籍先の要件 転籍先が優良な育成就労実施者であること。転籍は同一の業務区分内に限られる
人数の割合 転籍先の育成就労外国人の総数に占める本人意向転籍者の割合が一定以内であること
費用の負担 転籍先が転籍元に対し、取次ぎ・育成に係る費用として告示で定める額に在籍期間に応じた按分率を乗じた金額を支払うこと

要件を並べると分かるとおり、転籍のハードルは決して低くありません。「制度が変わったら人材が一斉に流出する」という語られ方をすることがありますが、実際には期間・技能・日本語・紹介経路・受け入れ先の適格性・人数枠・費用負担のすべてを満たす必要があります。

それでも、住まいの実務から見れば変化は明確です。転籍が制度として位置づけられた以上、3年の在留期間の途中で退去と入居が発生するケースは確実に増えます。しかも転籍が可能になるのは早ければ就労開始から1年経過後です。「2年目に住み替えが起きうる」という前提で、契約と設備を組み直しておく必要があります。

具体的には、次のような論点が新たに立ち上がります。

短期解約の違約金/2年契約を前提にした条項のまま、1年強で解約すると違約金が発生する物件がある
家具家電の扱い/購入して据え付けた家電は転居のたびに運搬・廃棄コストが発生する。リースやレンタルの方が総額で有利になる場面が出てくる
保証会社の再審査/転居先で改めて審査が必要になる。転籍のタイミングと審査期間が重なると空白期間が生まれる
ライフラインの切替/電気・ガス・水道・通信の名義変更や解約を、本人が理解できる言語で案内する必要がある
計画の変更届出/住居を変えた場合の手続(前章参照)
名古屋・愛知の企業は「指定区域」の扱いにご注意ください
入管庁Q&Aによれば、転籍先における本人意向転籍者の割合は3分の1を超えてはならないとされています。加えて、転籍先が大都市圏(指定区域の外)にある場合、地方(指定区域内)から受け入れる本人意向転籍者の割合は6分の1を超えてはならないとされています。指定区域は告示で定められ、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・大阪府・京都府・兵庫県以外の道県と、この8都府県のうちの一部地域が対象とされています。該当するかどうかは受け入れ機関の本店所在地で判断されます。
つまり愛知県内に本店がある企業の多くは大都市圏側の扱いとなり、地方から転籍者を受け入れる際により厳しい割合制限がかかる可能性があります。自社が指定区域に当たるかどうかは、告示および機構への確認をおすすめします。

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05受け入れ企業・監理支援機関が今から備えること

2026年9月1日から育成就労計画の認定申請が始まることを踏まえると、住まいまわりで整理しておきたいのは次の点です。

備えること なぜ必要か
現在使っている宿舎の面積・採光・収納設備を実測で棚卸しする 計画の認定申請で見取り図と算出根拠が必要になるため。壁芯ではなく内法で確認する
賃貸借契約の解約条項・違約金条項を確認する 転籍による中途解約が起こりうる前提に変わるため
家具家電を「買う」か「借りる」かを再検討する 入れ替わりの頻度が上がると、購入・運搬・廃棄の総コストが読みにくくなるため
複数人入居時の1人あたり面積を計算し直す 共用部を含めた按分では基準を満たしたことにならないため
入居・退去の手順を多言語で文書化する 転籍時は本人が主体的に動く場面が増えるため
寄宿舎に該当する場合の届出状況を確認する 該当性に疑義があるときは労働基準監督署への相談が推奨されているため

なお、制度の解釈や個別の申請可否については、行政書士・社会保険労務士などの専門家や、外国人育成就労機構・所管省庁の窓口へご確認ください。当社がお手伝いできるのは、あくまで物件の選定・契約・入居後の生活サポートの部分です。

06大家さん・管理会社から見た育成就労

オーナー様から実際にいただくご不安は、だいたい次の3つに集約されます。

「転籍が増えると、すぐ退去されるのでは」——前章のとおり、本人意向の転籍には期間・技能・日本語・転籍先の適格性・人数枠・費用負担といった要件が重なります。誰でもいつでも動けるわけではありません。ただし、これまでのように「3年間まったく動かない」という前提も置けなくなります。企業契約であれば、入居者が変わっても法人が契約を継続する形で運用できる場合があり、空室リスクの受け止め方は個人契約とは異なります。

「言葉が通じないときに困る」——設備トラブルやゴミ出しのルールなど、日常の連絡が取れるかどうかが実際の負担を左右します。当社は社宅事業として全国で外国籍スタッフの住まいを手配しており、スペイン語・ポルトガル語での対応が可能です。その他の言語についても、受け入れ企業・監理支援機関と連携して連絡体制を組む形でご相談に応じています。

「原状回復でもめないか」——入居時の写真記録と、退去時の基準をあらかじめ本人が読める形で共有しておくことが、いちばん効きます。入れ替わりが増える局面ではここを仕組みにしておく価値が上がります。

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2027年4月の施行に向けて、宿舎の棚卸し・契約条件の見直し・入退去フローの整備を一緒に進めています。名古屋・愛知・岐阜を中心に、社宅事業は全国対応です。

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07よくあるご質問
Q. 今受け入れている技能実習生は、2027年4月に自動的に育成就労へ切り替わりますか?
A. 一律に切り替わるわけではありません。入管庁Q&Aでは、2027年4月1日時点で既に来日している技能実習生は、引き続き認定計画に基づいて技能実習を続けられるとされています。1号から2号への移行も可能とされ、3号への移行については施行日時点で2号の活動を1年以上行っていることが必要とされています。個別の判断は機構や専門家にご確認ください。
Q. 育成就労では家族を呼び寄せられますか?住まいは家族向けを探すべきですか?
A. 入管庁Q&Aでは、育成就労は原則として家族の帯同を認めないこととされています。したがって住まいの手配は単身または複数人での入居が基本になります。将来的に特定技能へ移行した後は状況が変わりうるため、長期の定着を見込む場合は移行後を見据えた物件選びをご相談いただくこともあります。
Q. 転籍した場合、それまで住んでいた社宅はどうなりますか?
A. 制度上「こうなる」と一律に決まっているわけではなく、賃貸借契約の名義・解約条項・費用負担の取り決め次第です。法人契約であれば契約自体は残し、次の入居者を迎える形が一般的です。契約条件の設計段階からご相談いただくと、後の負担を抑えやすくなります。
Q. 宿舎の面積基準は、技能実習のときと同じと考えてよいですか?
A. 寝室1人あたり4.5㎡以上という考え方は引き継がれています。ただし押入等の使用できないスペースを除いて算定する点、複数人入居時に総面積を人数で割る計算は通らない点にご注意ください。特定技能の7.5㎡基準とは別の制度ですので、混同しないようご確認ください。
Q. まだ施行前ですが、いま動く必要はありますか?
A. 監理支援機関の許可の施行日前申請は2026年4月15日に受付が始まり、育成就労計画の認定は2026年9月1日から施行日前申請が可能とされています。計画には宿泊施設に関する事項が含まれるため、2027年4月の受け入れを想定するのであれば、物件の目星をつける作業は前倒しになります。

この記事のまとめ

育成就労制度の施行日は2027年4月1日で、2026年7月時点ではまだ施行前です。分野別運用方針と運用要領は公表済みですが、告示など追って定められる部分が残っています。

部屋に求められる水準(寝室1人4.5㎡以上、施錠可能な収納、採光、寄宿舎規則の届出など)は、技能実習の考え方を引き継ぐ形で整理されています。物件そのものを一斉に探し直す話ではありません。

住まいの実務にとって最大の変化は、本人意向による転籍が制度化されることです。3年間ずっと同じ部屋、という前提が崩れ、契約条項・家具家電の持ち方・保証会社の再審査・ライフライン切替・計画の変更届出を、住み替え前提で組み直す必要が出てきます。

制度の解釈や申請の可否については、専門家および外国人育成就労機構・所管省庁の窓口へご確認ください。本記事は制度施行前の公表情報に基づく整理であり、今後の告示・運用要領の改正により内容が変わる可能性があります。

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