奨学金を受けていると、部屋探しで有利になることがあります。収入がない留学生にとって、毎月決まった額が入るという事実は、審査で意味を持つからです。
ただし注意点もあります。奨学金には受給できる期間があり、部屋の契約期間(通常2年)とずれることが少なくありません。また、在留資格が「留学」でなくなると受給資格を失う制度もあります。
この記事では、留学生が使える奨学金の種類と、部屋探しでの扱い方を整理します。
この記事でわかること
- 日本語教育機関の学生も対象になります
- 学習奨励費とは
- 民間の奨学金
- 審査で使えるのか
- 期間のずれに注意
- 在留資格が変わると受給資格を失います
- 貸与型を利用する場合の注意
- よくあるご質問
「奨学金は大学生だけのもの」と思われがちですが、そうではありません。
ただし日本語教育機関の場合は、日本の大学・大学院・短期大学・高等専門学校・専修学校の専門課程への進学を目指していることが条件とされています。
つまり、日本語学校に通いながら進学を目指している方も、応募できる可能性があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 大学院レベル・学部レベルともに月額48,000円(2025年4月時点) |
| 返還 | 給付型です(返す必要がありません) |
| 対象 | 在留資格が「留学」の方のみ |
| 成績の条件 | 前年度の成績評価係数が2.30以上で、給付期間中も維持する見込みがあること |
| 申請方法 | 学校を通じて申請します |
「家族滞在」や「定住者」など、「留学」以外の在留資格をお持ちの方は対象外とされています。ご自身の在留カードを確認してください。
学習奨励費は、学校からの推薦により採用者が決まります。個人で直接申し込むものではありません。
在籍している学校の事務室に、募集の時期と手続きを確認してください。学校によって募集の枠や選考の方法が異なります。
なお、日本留学試験(EJU)の成績優秀者や、渡日前入学許可制度による学校推薦を受けた方については、予約者として選ばれる制度もあります。これから来日される方は、学校に確認してみてください。
JASSO以外にも、民間団体による奨学金があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 金額 | 制度によって幅があります。月額3万円〜18万円程度という例が示されています |
| 応募方法 | 学校を通じて応募するものと、団体へ直接応募するものがあります |
| 条件 | 対象分野を限定していたり、日本語能力を求めるものがあります |
| 併給 | 多くの奨学金は、他の奨学金との併給を認めていません |
併給制限は必ず確認してください。複数に応募して両方採用された場合、どちらかを辞退することになります。
本題です。奨学金は入居審査で有利に働くのでしょうか。
月48,000円の学習奨励費を受けていても、家賃4万円の部屋を借りるには足りません。生活費も必要だからです。
実務では、経費支弁者(仕送りをしている方)の情報とあわせて示す形になります。
それでも意味はあります。「毎月決まった額が確実に入る」という事実は、収入がない留学生にとって数少ない裏付けです。
| 提出できるもの | 備考 |
|---|---|
| 奨学金の決定通知書 | 採用が決まった際に交付されます。保管しておいてください |
| 支給額と支給期間が分かる書類 | いつまで受けられるかが重要です |
| 振込の記録 | 通帳やアプリの履歴 |
決定通知書は必ず保管してください。部屋探しのときだけでなく、在留期間の更新でも使える場合があります。
ここが実務上の落とし穴です。
奨学金の支給期間と、賃貸契約の期間は一致しません。日本の賃貸契約は通常2年ですが、奨学金は1年ごとの審査であったり、在籍する課程の期間に限られたりします。
| 起こりうること | 影響 |
|---|---|
| 奨学金が1年で終わる | 2年目の家賃をどう払うかを考えておく必要があります |
| 成績が基準に届かず継続できない | 学習奨励費は成績評価係数2.30以上が条件です |
| 進学して制度が変わる | 日本語学校と進学先で、応募できる制度が異なります |
奨学金がなくなっても払える家賃かどうかを、契約前に確認してください。受給が終わったからといって、契約を途中で解約すると違約金がかかることがあります。
見落とされやすい重要な点です。
受給の途中で「留学」以外の在留資格に変更した場合、受給資格を失い、辞退する必要があります。資格を失ったまま受給を続けた場合、原則として返還しなければならないとされています。
つまり、卒業して就職が決まり、就労の在留資格に変更した時点で、奨学金は終わります。その後の家賃をどう払うかは、就職先からの給与に切り替わることになります。
就職のタイミングで住まいを変えるかどうかについては、別の記事でご説明する予定です。
奨学金には、返す必要のない給付型と、返す必要のある貸与型があります。
貸与型で学費や生活費を賄おうとする場合、法務省入国管理局が留意事項を示しています。
・在学中に貸与を終了する条件が付されていること(一定の例外を除く)
・貸与額の残額を一括で返済する条件が設けられていること
・貸与を途中で終了した場合や、就労の在留資格への変更が認められなかった場合、卒業後に特定の機関で就労しない場合などに、一括返済や違約金を課す条件
また、繰上返済を貸与した法人から強要されることは認められないとされています。
これは留学生を守るための整理です。「奨学金を出す代わりに、卒業後は必ずうちで働け」という条件は問題があります。
貸与型を検討する場合は、条件を書面で確認し、不安があれば学校や専門家に相談してください。
この記事のまとめ
JASSOの学習奨励費は、日本語教育機関に在籍する私費外国人留学生も対象です。ただし進学を目指していることが条件とされています。
支給額は月額48,000円(2025年4月時点)で、返還は不要です。ただし在留資格が「留学」の方のみが対象で、成績評価係数2.30以上という条件があります。申請は学校を通じて行います。
民間の奨学金は月額3万円〜18万円程度と幅がありますが、多くは他の奨学金との併給を認めていません。
審査ではプラスの材料になりますが、それだけでは足りません。経費支弁者の情報とあわせて示してください。決定通知書は保管しておいてください。
注意すべきは期間のずれです。奨学金がなくなっても払える家賃かを契約前に確認してください。
在留資格が「留学」でなくなると受給資格を失います。貸与型を利用する場合は、一括返済や就労先の指定といった条件が付いていないか、必ず書面で確認してください。
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