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2026.08.10

留学生のトラブルを未然に防ぐ|入居時に学校が説明すべき生活ルール

近隣からの苦情は、たいてい「知らなかった」から始まります。悪意があって夜中に洗濯機を回す学生はいません。日本の集合住宅の音の伝わり方を知らないだけです。

だからこそ、入居前の説明でかなりの部分を防げます。そして説明用の資料は、自作する必要がありません。公的機関が無料で公開しているものを使えば十分です。

この記事では、学校が入居時に何を説明すべきか、どの資料を使えるか、どう記録を残すかを整理します。

この記事でわかること

  1. 苦情の大半は事前に防げます
  2. 説明すべき7つの項目
  3. 無料で使える多言語資料
  4. いつ説明するか
  5. 伝わる説明のしかた
  6. 記録を残してください
  7. 苦情が来たときの対応
  8. よくあるご質問
01苦情の大半は事前に防げます

実際に寄せられる苦情は、内容がほぼ決まっています。

苦情の内容背景
夜間の物音多くの国では住宅の防音性能が日本より高く、音の伝わり方に対する感覚が違います
ゴミの分別・出し方日本の分別ルールは細かく、地域ごとに違います
友人の出入りが多い母国では当たり前でも、日本の集合住宅では目立ちます
共用部に物を置く廊下や階段の使い方の認識が違います
料理のにおい換気扇を使う習慣がないことがあります

いずれも、知っていれば避けられることばかりです。入居後に注意するより、入居前に伝えるほうが、学生にとっても学校にとっても負担が小さくなります。

02説明すべき7つの項目

あれもこれもと詰め込むと伝わりません。優先順位をつけると次の7つです。

項目要点
1ゴミの分別と出し方種類、曜日、時間、指定袋。前夜に出さないことを必ず伝えてください
2夜間の静かにする時間夜10時〜朝7時が目安。洗濯機、掃除機、話し声、足音
3共用部の使い方廊下や階段に物を置かない。避難の妨げになります
4友人の宿泊と人数契約に書かれた人数を超えて住めません
5換気扇を使うこと料理のにおいは換気で大半が防げます
6困ったときの連絡先学校、管理会社、110番・119番。紙で渡してください
7住所変更の届出引っ越しから14日以内。在留カードを持参します

1番と2番だけでも、苦情の大半は減ります。時間が取れない場合は、この2つを優先してください。

「禁止事項の羅列」にしないでください
やってはいけないことばかり並べると、学生は萎縮するか、聞き流します。なぜそうするのかを一言添えるだけで、伝わり方が変わります。
「夜は静かに」ではなく「日本のアパートは壁が薄く、隣の部屋に音が聞こえます」。理由が分かれば、応用が効きます。
03無料で使える多言語資料

資料をゼロから作る必要はありません。公的機関が無料で公開しているものがあります。

資料内容提供元
多言語生活情報住まい、教育、医療、緊急・災害時など17項目を14言語で解説。14言語で在留外国人の94%以上をカバーするとされています自治体国際化協会(CLAIR)
Japan Life Guide上記の内容を収めた無料のスマートフォンアプリ(iOS/Android)同上
多文化共生ツールライブラリー各自治体が作成した生活ガイドブック、多言語版のゴミ分別資料などを検索できます同上
自治体の多言語ゴミ分別資料地域ごとのルールが載っています。区役所や市役所で入手できます各自治体
外国人生活支援ポータルサイト生活に必要な情報をまとめたポータル法務省

対応言語には、英語、中国語、韓国・朝鮮語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、インドネシア語、タイ語、タガログ語、ネパール語などが含まれます。日本語(ふりがな付き)とやさしい日本語もあります。

ゴミの分別は地域の資料を使ってください
分別ルールは自治体ごとに違います。全国共通の資料では足りません。物件のある区・市の資料を入手してください。多言語版を用意している自治体が増えています。
名古屋市の場合、収集の時間は朝8時までですが、中区だけは朝7時までです。こうした地域差は、地元の資料でないと拾えません。
04いつ説明するか
タイミング内容
入居前(来日前でも可)資料を送っておく。読んでおいてもらう
入居当日または直後いちばん効きます。実際の部屋とゴミ置き場を見ながら説明できます
入学後のオリエンテーションあらためて全体に伝える
1か月後困っていることがないか確認する

入居当日の説明が最も定着します。ゴミ置き場の場所、収集の曜日、指定袋の色。実物を見ながら聞けば、記憶に残ります。

複数名が同時に入居する時期は、まとめて説明する形でも構いません。ただしゴミ置き場だけは物件ごとに違いますので、現地で確認させてください。

05伝わる説明のしかた
短い文で話す/一文に複数の情報を入れないでください
やさしい日本語を使う/「分別」より「分けて」、「投棄」より「捨てる」
数字と固有名詞は紙に書く/曜日、時間、電話番号は口頭では残りません
実物を見せる/指定袋、ゴミ置き場、換気扇のスイッチ
「わかりましたか」と聞かない/多くの学生は「はい」と答えます。「ゴミは何曜日ですか」と質問して確認してください
母国語の資料を併用する/口頭は日本語でも、手元に母国語の資料があると復習できます

5番目が重要です。「わかりましたか」への「はい」は、理解の証明になりません。具体的な質問で確認してください。

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06記録を残してください

説明したこと自体を記録しておくと、後で役に立ちます。

残すもの使い道
説明した日付と担当者苦情が来たとき、いつ何を伝えたかが分かります
渡した資料の一覧次の学生にも同じものを渡せます
学生の署名または確認欄説明を受けたことの確認になります
使用言語理解度の目安になります

チェックリスト形式にしておくと、担当者が変わっても同じ説明ができます。入居のたびに内容がぶれると、学生によって知っていることが違うという状態になります。

07苦情が来たときの対応
順番やること
1事実を確認する(日時、内容、誰から)
2学生本人に確認する。頭ごなしに叱らない
3知らなかったのか、知っていて守らなかったのかを分ける
4知らなかった場合は、あらためて説明する
5管理会社に、対応した旨を伝える
6記録に残す

3番の切り分けが大切です。知らなかったのであれば、それは説明の不足であって、学生の落ち度ではありません。次回以降の説明内容に反映してください。

また、管理会社への返答は必ず行ってください。苦情を放置すると、次の入居を断られる原因になります。「対応しました」という一報だけでも、関係が変わります。

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08よくあるご質問
Q. 説明にどのくらい時間をかけるべきですか?
A. 入居当日に15分から30分程度あれば、要点は伝えられます。すべてを一度に伝えようとせず、まずゴミと音の2つに絞ってください。残りは資料を渡し、後日確認する形でも構いません。
Q. 日本語がまだほとんど分からない学生には?
A. CLAIRの多言語生活情報など、母国語の資料を渡してください。14言語に対応しています。口頭の説明は、実物を見せながら短い言葉で行うと伝わります。
Q. ゴミの資料はどこで手に入りますか?
A. 物件のある区役所や市役所で入手できます。多言語版を用意している自治体が増えています。地域によってルールが違いますので、必ずその地域の資料をお使いください。
Q. 何度言っても守らない学生がいます。
A. 知らなかったのか、理解できていないのか、意図的なのかを分けてください。理解の問題であれば、伝え方を変える余地があります。意図的な場合は、契約や在籍に関わる問題として学校の判断になります。
Q. 説明を外部に任せられますか?
A. 当社では入居時の生活ルール説明もお引き受けしています。物件の引き渡しとあわせて行えますので、学校のご担当者が現地に出向く必要がありません。

この記事のまとめ

近隣からの苦情の多くは「知らなかった」ことが原因です。入居前の説明でかなりの部分を防げます。

説明すべきは7項目ですが、時間がなければゴミの出し方と夜間の音の2つに絞ってください。それだけで苦情の大半は減ります。

資料は自作不要です。CLAIRの多言語生活情報は17項目を14言語で解説しており、在留外国人の94%以上をカバーするとされています。無料アプリもあります。

ただしゴミの分別だけは地域の資料を使ってください。名古屋市でも、収集時間が中区だけ朝7時までという違いがあります。

説明は入居当日が最も定着します。「わかりましたか」と聞かず、「ゴミは何曜日ですか」と質問して確認してください。

説明した記録を残し、チェックリスト化しておくと、担当者が変わっても同じ説明ができます。苦情が来たら、管理会社への返答を必ず行ってください。

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