日本で長く働いてきた。そろそろ年齢のことを考える時期になった。——外国籍の方から、住まいと老後についてのご相談をいただくようになりました。
日本人の高齢者向けの情報はたくさんありますが、外国籍の場合は在留資格・年金・介護保険の扱いが違います。また「母国の親を呼び寄せて一緒に住みたい」というご相談も少なくありません。
この記事では、日本で年齢を重ねる外国籍の方に関わる制度と、住まいの選び方を整理します。
この記事でわかること
- 介護保険は外国籍でも対象になります
- 年金はどうなるか
- 母国の親を呼び寄せられるか
- 賃貸の審査で見られること
- 物件選びで確認すること
- 言葉の問題にどう備えるか
- 相談できる窓口
- よくあるご質問
意外に知られていませんが、介護保険は国籍を問いません。
日本人と同様に介護保険サービスを受けられますが、保険料も同じように納めることになります。
| 年齢 | 扱い |
|---|---|
| 40歳以上65歳未満 | 第2号被保険者。国民健康保険料などとあわせて納めます |
| 65歳以上 | 第1号被保険者。年金から差し引かれるのが原則ですが、年金がない場合は納付書で支払います |
サービスを利用する際の自己負担は、原則としてかかった費用の1割です。所得によって2割または3割になる場合があります。
保険料の未納があると、サービス利用時の負担が重くなることがあります。納付書が届いたら、放置しないでください。
年金も、中長期在留者であれば加入の対象になります。ただし、受給できるかどうかは加入期間によります。
・期間が足りずに帰国する場合、脱退一時金を請求できる可能性があります(保険料納付期間が6か月以上の場合)
・ただし脱退一時金を受け取ると、その期間の年金加入記録はなくなります
・母国と日本の間に社会保障協定がある場合、期間を通算できることがあります
脱退一時金を受け取るかどうかは、慎重に判断してください。将来また日本に来る可能性がある場合、記録が消えることが不利に働きます。
ご自身の加入状況や受給の見込みについては、年金事務所にご確認ください。社会保障協定の有無は国によって異なります。
ご相談の多い論点ですが、ここは正直にお伝えしなければなりません。
入国管理の窓口で相談しても、「そのような在留資格はないので申請できません」という回答になることがあります。
ただし、例外的に「特定活動」の在留資格が認められる場合があります。俗に老親扶養と呼ばれるものですが、明示された要件がなく、出入国在留管理庁の裁量による部分が非常に大きいとされています。
| 考慮される要素 | 内容 |
|---|---|
| 親の年齢と健康状態 | 高齢であり、一人での生活が難しい状況か |
| 母国に他の扶養者がいるか | 他に面倒を見られる家族がいないか |
| 扶養できる収入があるか | 扶養家族が1人増えることを賄える収入や貯蓄が必要とされます |
| 日本で暮らす必要性 | なぜ日本でなければならないかを、書面で説明できるか |
とくに3番目は重要です。親が入国した後に生活保護を利用するような状況では、許可は見込めないとされています。
なお、高度専門職の在留資格をお持ちの方には、一定の要件のもとで親の呼び寄せが認められる優遇措置があります。ただしこれは、7歳未満の子の養育や、妊娠中の配偶者への支援といった目的に限られます。
個別の可否については、必ず行政書士等の専門家または出入国在留管理庁にご相談ください。当社が判断できる領域ではありません。
高齢になると、日本人でも審査が厳しくなります。外国籍の場合、そこに在留資格の要素が加わります。
| 見られる点 | 対策 |
|---|---|
| 在留資格の種類 | 永住者であれば有利です。就労系の場合、退職後の在留資格をどうするかが論点になります |
| 在留期間の残り | 更新申請中であれば、在留カード裏面の記載を示してください |
| 収入 | 年金、就労収入など。金額と安定性が見られます |
| 緊急連絡先 | 日本国内の連絡先。親族以外でも認められる場合があります |
| 健康状態 | 一人で生活できるか。見守りの仕組みがあると安心材料になります |
| 保証会社の審査 | 年齢制限を設けている保証会社があります。使える物件を選ぶ必要があります |
永住許可を取得しているかどうかで、審査の通りやすさが変わります。長く日本で暮らす予定があり、まだ申請されていない場合は、要件を満たすか確認してみる価値があります。
今は元気でも、数年後を考えて選んでおくと安心です。
| 確認項目 | 理由 |
|---|---|
| 階数とエレベーター | 足腰の状態は変わります。階段のみの3階以上は、後に負担になります |
| 段差の有無 | 玄関や浴室の段差は転倒の原因になります |
| 病院までの距離 | 通院が増えます。徒歩やバスで行ける範囲が望ましい |
| スーパーまでの距離 | 毎日の買い物に直結します |
| 手すりを付けられるか | 後から必要になることがあります。取り付けの可否を確認しておく |
| 周囲に人の目があるか | 異変に気づいてもらいやすい環境かどうか |
優先するなら、階数と病院までの距離です。この2つは年数が経つほど効いてきます。
日本語で生活してきた方でも、体調を崩したときや、緊急のときには言葉が出にくくなります。これは誰にでも起こることです。
・お薬手帳を持ち歩く/診てもらうとき、何を飲んでいるかを伝えられます
・持病や必要な配慮をメモにしておく/自分で説明できないときに役立ちます
・母国語が話せる医療機関を調べておく/地域によってはあります
・自治体の外国人相談窓口を控えておく/名古屋市内であれば名古屋国際センターなど
介護のサービスを利用する場面でも、言葉の問題は出てきます。いきいき支援センター(地域包括支援センター)が高齢者の総合相談窓口ですので、早めに一度相談しておくと、いざというときに動きやすくなります。
| 窓口 | どんなとき |
|---|---|
| いきいき支援センター (地域包括支援センター) |
介護、生活、健康の総合相談。何から相談すればよいか分からないときの入口です |
| 年金事務所 | 年金の加入状況、受給の見込み、脱退一時金について |
| 区役所の介護保険担当 | 介護保険の加入、保険料、サービスの利用 |
| 出入国在留管理庁・行政書士 | 在留資格、永住許可、親の呼び寄せ |
| 自治体の外国人相談窓口 | 多言語での生活相談 |
不動産のイブキは名古屋市西区に拠点を置き、外国籍の方の住まい探しを専門的に扱っています。年齢を理由に断られてお困りの場合も、ご相談ください。スペイン語・ポルトガル語での対応が可能です。
この記事のまとめ
介護保険は国籍を問いません。適法に3か月を超えて在留する40歳以上の方は被保険者となり、日本人と同様にサービスを利用できます。保険料の納付も同じです。
年金も加入の対象ですが、受給には一定の加入期間が必要です。脱退一時金を受け取るとその期間の記録はなくなりますので、慎重にご判断ください。
日本で暮らす外国人の親が住むための在留資格は存在しません。特定活動として例外的に認められる場合がありますが、裁量による部分が大きく、扶養できる収入があることが前提とされます。
賃貸の審査では、在留資格の種類と期間、収入、緊急連絡先が見られます。永住許可の有無で通りやすさが変わります。
物件は階数と病院までの距離を優先してご検討ください。言葉が出にくくなる場面に備えて、連絡先を紙に書いておくこともおすすめします。
制度の詳細は、年金事務所、区役所、出入国在留管理庁または専門家にご確認ください。
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