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2026.05.13

外国人スタッフの社宅費用の会計・税務処理——給与課税・損金算入・社宅規程の整備まで企業担当者が知っておくべき知識

「外国人スタッフの社宅費用は会社の経費になる?どう処理すればいい?

「スタッフから家賃を天引きしている。給与課税はどうなる?

「社宅規程を整備しないまま運用してきた。税務調査で問題になる?

外国人スタッフの社宅を法人名義で借り上げる企業が増えていますが、その費用の会計処理・税務上の取り扱いをきちんと把握していない担当者は少なくありません。「とりあえず経費で落としている」という運用のまま税務調査を受けると、思わぬ追徴課税が発生することがあります。

この記事では、社宅費用の損金算入・給与課税の判定・社宅規程の作り方・最低限知っておくべき税務の考え方を整理します。

⚠️ この記事は一般的な解説です。税務の判断は個別の状況によって異なります。具体的な処理方針は税理士・顧問税務署へご確認ください。

📋 この記事の内容

  1. 社宅費用が「福利厚生費」になる条件
  2. スタッフから家賃を徴収しない場合——給与課税が発生する
  3. 給与課税を避けるための「賃貸料相当額」の計算
  4. 社宅費用の給与天引きと最低賃金の関係
  5. 社宅規程に書くべき最低限の内容
  6. よくある疑問Q&A
01社宅費用が「福利厚生費」になる条件

会社が法人名義で社宅を借り上げ、スタッフに住まわせる場合、その家賃は会社の「損金(経費)」として算入できます。ただし「スタッフに対してどのくらいの費用を負担させているか」によって、税務上の扱いが変わります。

ポイントは「会社が全額負担しているか・スタッフから一定額を徴収しているか」です。会社が全額負担してスタッフに無償で提供している場合、その費用はスタッフへの「経済的利益の供与」として給与課税の対象になる可能性があります。一方、スタッフから「賃貸料相当額」以上を徴収している場合は給与課税が発生せず、会社の福利厚生費として処理できます。

02スタッフから家賃を徴収しない場合——給与課税が発生する

スタッフに無償(家賃ゼロ)で社宅を提供する場合、その経済的利益は給与として課税されます。具体的には「賃貸料相当額(税法上の計算式で求めた金額)」がスタッフの給与収入として加算され、所得税・住民税の計算に含まれます。

スタッフの手取りを変えずに無償提供を続けると、実質的に会社が税金を肩代わりしている形になります。採用コストとしての計算には、この税負担まで含めて考える必要があります。

⚠️ 「外国人スタッフだから社会保険・所得税は関係ない」は誤りです。適法に雇用している特定技能・技能実習スタッフは日本の社会保険・所得税の対象になります。給与課税の計算漏れは税務調査で指摘されることがあります。
03給与課税を避けるための「賃貸料相当額」の計算

スタッフから「賃貸料相当額」以上を徴収していれば、給与課税は発生しません。賃貸料相当額は実際の家賃ではなく、税法(所得税法施行令第84条の2)が定める計算式で求めます。

計算式は固定資産税評価額をベースにした複雑なものですが、一般的に「実際の家賃の10〜20%程度」が賃貸料相当額になるケースが多いです。たとえば実際の家賃が50,000円の場合、賃貸料相当額はおよそ5,000〜10,000円程度になることが多く、スタッフからその金額以上を徴収していれば給与課税は発生しません。

💡 賃貸料相当額の正確な計算には固定資産税評価額(固定資産税の課税明細書等で確認)が必要です。物件の管理会社または税理士に依頼することをおすすめします。計算が複雑な場合は顧問税理士へご相談ください。

実務的なポイントとして、スタッフから徴収する社宅費は「賃貸料相当額以上」であれば金額を超えてもかまいません。ただし高額すぎる徴収は労働条件の問題になります。特定技能スタッフについては、手取りが適切な水準(概ね70,000〜80,000円/月以上)を下回らないよう注意が必要です。

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04社宅費用の給与天引きと最低賃金の関係

社宅費用をスタッフの給与から天引きする場合、差し引いた後の手取りが最低賃金を下回ってはいけません。これは労働基準法・最低賃金法上の義務です。

愛知県の最低賃金(2024年10月時点:1,077円/時)を基準に月換算すると、所定労働時間が月160時間であれば最低賃金ベースの月収は約172,320円です。ここから社宅費・食費・その他の控除を引いた金額が最低賃金相当以上であることが必要です。

特定技能では入管当局が「スタッフが適切な生活水準を維持できているか」を審査します。社宅費の天引きが大きすぎてスタッフの手取りが不当に少なくなっていると、在留更新の審査で問題になることがあります。

控除できるもの 注意点
社宅費(家賃相当) 賃貸料相当額以上をスタッフから徴収する場合は就業規則・社宅規程に明記し、スタッフの書面同意が必要。天引き後の手取りが最低賃金を下回らないこと
食費(食事提供がある場合) 実費弁償の範囲内。利益を乗せた価格での徴収は問題になる可能性がある
その他(制服・道具等) 業務に必要なものをスタッフ負担にすることは制限がある。就業規則への明記が必要
05社宅規程に書くべき最低限の内容

社宅の運用ルールを就業規則または別規程(社宅管理規程)として文書化しておくことは、税務・労務・トラブル防止の3つの観点から重要です。ここでは最低限盛り込むべき内容を整理します。

項目 記載内容の例
社宅の対象者 「特定技能・技能実習の在籍スタッフを対象とする」等
社宅費の徴収額と方法 「月○○円を給与から天引きする」等。賃貸料相当額の根拠を別途計算書として保管する
入居条件・入居期間 在籍中のみ利用可能・退職後○日以内に退去する等
退去時の原状回復 通常損耗を超える損傷についてはスタッフが負担する等
生活上のルール ゴミ出し・騒音・来客・無断転貸の禁止等(多言語で別紙に記載)
退去手続き 退職時の退去期限・鍵の返却方法等
社宅規程は採用時にスタッフへ説明し、署名・受領サインをもらっておくことで「知らなかった」というトラブルを防げます。多言語版の要約書を用意するとさらに確実です。
06よくある疑問Q&A
Q. 社宅費を給与から天引きする場合、スタッフの同意書は必要?
必要です。労働基準法第24条は「賃金は全額払いが原則」であり、控除するには就業規則への明記と労使協定(または個別同意)が必要です。社宅費の天引きについては就業規則・社宅規程に明記した上で、採用時に書面で同意を取っておくことをおすすめします。
Q. 敷金は会社が払うが、退去時に戻ってきたお金はどう処理する?
法人名義で支払った敷金は「差入保証金」として資産計上します(費用ではありません)。退去時に返還された敷金は差入保証金の取り崩しとして処理します。原状回復費用が差し引かれた場合はその差額が損金になります。処理方法は顧問税理士へご確認ください。
Q. 礼金は費用として全額計上できる?
礼金は返還されない費用であるため、支払った事業年度に損金算入できます(ただし20万円以上の場合は繰延資産として償却する必要があります)。礼金なしの物件を選ぶことでこの処理が不要になります。不動産のイブキでは礼金なし物件を優先して提案しているため、会計処理の手間を減らすことができます。
Q. 特定技能のスタッフに社宅費を払わせている。入管審査で問題になる?
社宅費の徴収自体は問題ありません。ただし徴収額が「近隣相場と著しく乖離していない」「スタッフが適切な生活水準を維持できる手取りが残っている」という条件を満たしていることが求められます。徴収額・手取りの水準が適切かどうかは、定期報告書に記載される支援計画の実施状況の中で確認されます。不当に高い社宅費を設定すると在留更新の審査に影響することがあります。

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📌 まとめ

社宅費用の税務処理で最重要なのは「スタッフから賃貸料相当額以上を徴収しているかどうか」という点です。徴収していれば給与課税は発生せず、会社の福利厚生費として損金算入できます。徴収していなければスタッフへの経済的利益として給与課税の対象になります。社宅費の天引きには就業規則への明記・スタッフの書面同意が必要で、天引き後の手取りが最低賃金を下回ってはいけません。礼金なし物件を選ぶことで礼金の会計処理も不要になります。具体的な金額・処理方法は顧問税理士へご確認ください。

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